熊日記

毎日の記録と意見

帰省のおともに三津田信三

田舎の夜はテレビを見るかコンビニに行くことぐらいしかやることがないので、帰省中はどうしても本が進む。手取り早く時間をつぶすにはホラーがいいし、さらに言うと三津田信三なら間違いない。

年始に帰省したときは「怪談のテープ起こし」という本を読んだ。今回は「凶宅」。以前「禍家」という本を読んだが、同じような家にまつわるホラーである。ある「山」に建てられた家に引っ越してきた主人公が様々な怪異に出くわすという話だが、いま自分が帰省している実家ももともとは山を拓いて建てた家だとふと思い当たった。そういうことをしたらダメな山でなくてよかった。

最後の局面で、怪異の正体がなんでそれなの?という疑問は残ったが、ラストの1行にやられた。例えば「リング」なんかもそんな終わり方だったが、ホラーの最後で「まだ終わらないよ」という暗示がバシッとなされると、ぞっとすると同時におお!と歓声を上げてしまう。まるで体操演技で着地がきれいに決まったような感じだ。